写真|磔刑|サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院
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12世紀 スペイン
撮影|菅野康晴/2015年
2017年/インクジェットプリント/額装/ed.15
■ロマネスク聖堂ですごすあの貴重な時間は、けっして再現できない。写真はよすがでしかない。しかし、たった1枚の写真からでも、記憶があふれだす。夏でもひんやりとした堂内の空気感や、回廊に出たときのまぶしさ。朝と夕方ではまったくことなる表情をみせる空間や装飾……。カメラマンによっては芸術性を第一にして装飾は二の次で、私が重要と思う部分はまったく撮っていない、というタイプも多いけれど、菅野さんはそうではない。ロマネスクの作り手たちを尊重しているのだ。撮るまえにふたりで聖堂をぐるりとまわりながら、あまりの美しさに言葉もなく立ちつくすこともしばしば。私が指摘せずとも、ロマネスクならではの細部のおもしろさや絶妙な表情をとらえている。(金沢百枝/美術史家「菅野さんの写真」)
■美術全集ではじめて「不信のトマス」をみたときから、いつかゆきたいと切に願っていたのが、スペインのシロス修道院だった。何日もかよい、回廊を幾度もめぐったけれど、あきることがなかった。全体の構成がしっかりしており、細部も詩情があふれていて、すべてがすばらしい。(金沢百枝)
■菅野康晴 Yasuharu Sugano
『工芸青花』編集長。1968年栃木県生れ。早稲田大学第一文学部卒業後、1993年新潮社入社。『芸術新潮』及び「とんぼの本」シリーズの編集部に在籍後、2014年「青花の会」を始める。担当した本に、川瀬敏郎『一日一花』、坂田和實『ひとりよがりのものさし』、中村好文『意中の建築』、三谷龍二他『「生活工芸」の時代』、李鳳來『李朝を巡る心』など。共著に『工芸批評』(新潮社青花の会)
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