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書籍|李鳳來|柳宗悦を考える

書籍|李鳳來|柳宗悦を考える

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『柳宗悦を考える』
著者|李鳳來
発行|2025年7月25日/新潮社青花の会
A5判/上製本/84頁


長年、青山で朝鮮の古美術をあつかう著者の2冊目の本。前著『李朝を巡る心』は、李朝の器物にひかれる人々のまっすぐな心情を描き、骨董本というジャンルをこえて読者の心をゆさぶりました。本書のテーマは大きくはふたつ。自伝(在日本大韓民国民団長だった父親ほか家族の話でもある)と、柳宗悦の朝鮮工芸論について。ふかくかかわった民藝関係者たちの逸話も貴重です。前著同様に熱く、痛切な文章ながら、読後感はすがすがしい──「李朝は」「民芸は」「井戸茶碗は」などと気がねなく口にする私たちに、そのすがすがしさのゆえんをかえりみるよう、やさしく/きびしく、うながしてくれる本でもあります。


著者|李鳳來 Lee Bong Rae
古美術商。1947年生れ。1972年、東京南青山に、朝鮮の古美術を扱う「梨洞」を開店。著書に『李朝を巡る心』(新潮社青花の会)。


目次|
Lの1/2
柳宗悦を考える
素人の花


本書より|

その家にLの父を頼って韓国から密入国してくる人々──その人達は言葉の不自由さ、地理の不案内のためだけでなく、官憲に捕まると故郷に強制送還されるので外出ができない。すると父は居候達に家を与え、母と兄弟を連れて突然引っ越しをする。これを繰り返すうちに住む家は小さくなっていった。(「Lの1/2」より)

朝鮮戦争の勃発当時、韓国では国会議員の選挙運動が行なわれている最中で、Lの父はソウルの中心街鐘路区でまさしく運動中であった。そこに北の軍が攻め入ってくるというので、彼はどうにか家族のいる日本に戻ってきたのだが、その弟すなわちLの叔父は釡山 で南の李承晩の軍に捕まり、ひどい拷問の末に命を落したと、先に日本に辿り着いていた父は聞いたのだった。(同)

 父はLに、ほとんど家のこと、故郷のことを話さなかった。ただ、歴史ある家である、とだけ言った。芥子の季節になると蓋馬高原が花に埋もれ、その美しさといったら言葉にできないこと。川では大人の背丈ほどの大魚がとれること。冬の寒さの尋常でないこと。(同)

父は「大きな国に産まれた人はそれだけで幸せだ」と母に言っていた。大きな国とは国力の強い国という意味だが、支配された国に産まれた悔しさが、短い言葉によく表れている。子供の頃からこんな言葉が自然と耳に入っていると、国とか民族とかヒトとかを考えざるを得なくなる。(同)

そんな時、Lの母が一大決心をした。日本人が韓国を語る時、キムチとか妓生とかそんな話しか出てこないが、韓国には誇れる文化があるではないか。陶磁器や家具やいろいろな種類の、柳宗悦が絶賛している文化、それを肝心の韓国では誰も、どこもきちんと紹介していない。国の広報活動でさえ、文化については何もしていない。それならば民間の代表として我が家がやろう。韓国朝鮮の美を紹介する場を作ろう、と言い出したのだ。(同)

柳宗悦を知りたければ、まずは駒場の日本民藝館を訪れるべきだ。そこに陳列されている世界各国の美しいモノを観て、もし心を揺り動かされたら、また次の企画展を訪れればよい。そうして何回も足を運んでも、心の発動が薄れることがなかったら、人によっては柳の書いた本を読めばよい。逆の入り方はお勧めしない。モノに感動を覚えない人に、柳が書いたことの真意など理解できるはずがないからだ。(「柳宗悦を考える」より)

「民芸」グループのなかで柳が孤独であったと私が思う理由は、このことに尽きる。民族 のココロから入っていったのは、柳一人だということだ。(同)

日本民藝館を訪れる人のほとんどは、二階の朝鮮の部屋に置かれている作品を観て、朝鮮の民衆がそれらを使っていたと誤解する。しかし、あの美しい作品のどれ一つとして、民衆の部屋に存在していたモノなどない。それらは観念論者の、もしくはその家族の部屋にあって、モノ自身も観念の対象として置かれていたのだ。(同)

驚くべきは、そうした観念の対象物でもある家具、絵画、陶磁器、石工品、金属器の美しさだ。何故かくも格調高く、美しいのか。理由は一つ。金を目的として作られたモノではないからだ。(同)

どういうわけか、これらの力強い茶碗が、元来は朝鮮の飯茶碗、雑器であったと伝えられている。高名な学者も茶人も物書きも。朝鮮の人々が、あの凜とした茶碗で、器を手に持たない朝鮮式の食べ方で、一体どういう姿勢で飯を喰べたというのか。私にはとんでもないこととしか思えない。(同)

李朝の作品はコンテストで優劣をつけるために作られたものではないモノに自分の考え思想生き方を投影できる人こそが李朝の理解者なのだ。(「素人の花」より)


書評|

本書中「Lの1/2」は、李さんの万感の思いを吐露した遺言書のようで、胸が摑まれ、言葉を喪いました。(川瀬敏郎・花人)

本書後半、柳宗悦の朝鮮工芸論の読解には虚をつかれた。朝鮮の「民芸」は支配層である観念論者たちの生活道具で、「民」の使うものではない。では、なぜそれが美しいのか。李朝の壺も井戸茶碗も、金銭目的で作られていないから、と著者は断言する。(金沢百枝・美術史家/2025年8月10日付「読売新聞」書評より)

苛烈な半生を生きた著者による貴重な証言であり、余人には書きえない「李朝」論だと思う。(同)


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